RCサクセションの最後のアルバム『Baby a Go Go』がリリースされたのは1990年、僕が高校生のときだった。当時やっていたバンドのドラマーから借りて聴いたんだったと思う。そのときはかなり気に入ったんだけど、ここ十数年はまったく聴いていなかった。すっかり忘れていたというか。それが先日、友人と飲んでいてこのアルバムの話になり、懐かしさから久々に購入して聴いてみることにしたのだ。

そして僕はそこに収められた「空がまた暗くなる」に戦慄することになる。高校生のときはまるでわからなかった。こんなにも恐ろしい歌を、僕はほかに知らない。

おとなだろ 勇気をだせよ
おとなだろ 知ってるはずさ
悲しいときも 涙なんか
誰にも 見せられない

おとなだろ 勇気をだせよ
おとなだろ 笑っていても
暗く曇った この空を
かくすことなどできない

ああ 子供の頃のように
さあ 勇気を出すのさ
きっと 道に迷わずに
君の家にたどりつけるさ

おとなだろ 勇気をだせよ
おとなだろ 知ってることが
誰にも言えないことばかりじゃ
空がまた 暗くなる

(RCサクセション「空がまた暗くなる」)

空は暗く曇っている。僕たちにはなすすべもない。ただただ泣きじゃくる者がいる。笑ってやり過ごそうとする者もいる。しかし空が明るさを取り戻すことはないし、もはやそのことを隠すこともできない。どこへも行こうとしない黒い雲はいよいよ厚くたれこめてゆく。

僕たちは道に迷っている。もうおとなになったはずなのに、家へ帰れなくなってしまっている。そして家にたどりつくために今、おとなである僕たちに子供のような勇気が求められている。そんな子供じみたものを手放すのと引き換えに、僕たちはおとなになったはずなのに。

彼は知っている。僕たちがこの暗い空におびえて泣いていること、すべてを笑ってごまかそうとしていること、勇気を失って道に迷っていること、そして、後ろめたい思いを胸に抱えたままでいること。

しかし彼は何も教えてくれない。彼は僕たちに泣くことも笑うことも禁じ、困難な矛盾を強い、誰にも知られていなかったはずの秘密を暴き、そして暗い空の下に僕たちを放り出したままどこかへ行ってしまう。どうすればこの空が再び明るくなるのか、その答えはついに示されない。ただ、このままではこの空がまた暗くなるばかりだと、彼はそう告げるのみだ。

僕たちはこんなにも恐ろしい歌を書く詩人を永遠に失ってしまったのだ。忌野清志郎の冥福を祈る。