aside 要素とプル・クオート

HTML5 の 2010 年 3 月 4 日付 W3C 草案 では、aside 要素は以下のように定義されています:

The aside element represents a section of a page that consists of content that is tangentially related to the content around the aside element, and which could be considered separate from that content. Such sections are often represented as sidebars in printed typography.

The element can be used for typographical effects like pull quotes or sidebars, for advertising, for groups of nav elements, and for other content that is considered separate from the main content of the page.

なにが難しいってこの tangentially related って部分をどう解釈するかが難しいんですが、そこは置いときます。今回ここで取り上げたいのは、上記草案のうちふたつめの段落、要素の具体的な使用例の部分。そこには、aside 要素は「プル・クオートや囲み記事のようなタイポグラフィ上の効果や、広告、nav 要素のグループ、またそのほかページの中心となる内容から切り離されていると見なせるコンテンツのために使われる」とあります。ここで気になったのが「プル・クオート」という聞き慣れない単語です。調べてみると英語版 Wikipedia に記事がありました:

A pull quote (also known as a lift-out quote or a call-out) is a quotation or edited excerpt from an article that is typically placed in a larger typeface on the same page, serving to lead readers into an article and to highlight a key topic. The term is principally used in journalism and publishing.

プル・クオートとは「記事からの引用または手を入れた抜粋で、一般的には同一ページ内に大きめの書体で配置され、リード文の役割を果たし、主要な話題を目立たせるもの」であり、「おもに新聞・雑誌や出版で使われる用語」である、と。「クオート」というとほかのリソースからの引用を思い浮かべがちですがそうではなく、みずからの要約やハイライトのための抜粋ということのようです。

そう言われて僕がすぐに思いついたのは、雑誌のインタヴュー記事で主要な発言を抜き出して見出しのように見せるやつです。とくに数ページにわたる長い記事で、キャッチーかつ全体を要約するようなセンテンスをページの上部や段落の間などに挿入するあれ、あれをどうやらプル・クオートと呼ぶらしい。たしかに、あの部分は記事の内容を把握する助けになりますが、もしページ上に存在しなかったとしても記事そのものには影響がないので、aside 要素の定義にマッチしているように思いますね。

というわけで、aside 要素をどのように使うか迷ったときは、プル・クオートのような「その前後の内容に関係する (かもしれない) けれども、なくてもその前後には影響のない要素」というようなものを思い浮かべるといいかもしれません。